道徳の乱れ

 ここに来てひどい道徳の乱れが二つ明らかになった。一つは防衛前次官守屋
である。彼は、防衛省の隊員であり言わば侍である。商社と癒着し接待など賂
を受けたことは侍にあるまじき行為である。江戸時代でも侍の堕落はあった。
然しその行為が糾弾されればお家断絶、身は切腹である。そのような責任の取
り方が科せられた封建時代と違い、現在は国会などで堂々と証言している。国
の防衛の根幹を乱した罪は万死に値する。最も厳しく糾弾されなければならな
い。


もう一つは、道路関連の栗本鐵工である。40年に亘り検査のデータを捏造し、
強度の低いものを公団などに納入していた。これは企業人として最も卑しい行
為で即く、会社を解散するに等しい出来事である。要するに強度の低いもの
(原価)の安い物を納入するために検査のデータを捏造した。
検査の不正、商品の偽りと二重の不正である。高速道路に使用され、われわれ
利用者は日々道路を利用している。国で定める安全基準を満たしていると信じ
ている。然るに、この二重の不正は許しがたい。もし震度8強級の地震の場合、
正規のものなら崩壊しないが、栗本の物なら崩壊するかもしれない。このよう
な重大な不正が40年も続いたいたことは信じ難い。そこには監督官庁との癒
着がないか究明すべきだ。
企業というものは社会の負託を受けてそれぞれ活動し、その行為が社会に貢献
するものである。その理念が守られないものは企業社会から退散すべきだ。