犯人逮捕に29時間

 今回の立て篭もり事件解決に29時間を要した。前にも書いたが、
警察官が負傷して倒れているのに犯人の脅しで救出出来ないという
馬鹿げた現象を国民はテレビを通じて見てしまった。
 警察はわれわれ一般庶民には強く、こうした無法者には弱いのだと。
現場を指揮する県警本部の脆弱な体質が露呈した。事情を知らない交
番巡査が駆けつけた。やにわに打たれるそこに倒れる、もう即突入し
なければならない。このときよく人命重視という言葉が頭に浮かぶ。
しかし拘束されているのは犯人の元妻一人、突入しても犯人確保し、
人質を救出することは可能である。そうすれば事件は3時間もあれば
解決した訳だし第二の犠牲者、林巡査部長の死も防げた。
 SATを投入してこの不様さは呆れるほかない。今の警察機構の脆
弱さを露呈した。官僚が全国の県警を渡り歩き出世をしてゆくなか、
こうした特殊な事件を担当する能力がないのが実態ではないか?。
もし、最初の犠牲者が出血多量ならば即座に助け出さなければならな
い。幸い5時間もったことが良かったのか悪かったのか。「命は地球
より重い」という言葉は間違っていると「国家の品格」の著者藤原正
彦氏は言っている。人間は宇宙漂う塵の如く儚いものである、故に尊
い。儚いから大切なのだと説いている。重いから絶対だとは大きく違
う。県警に胆力のある幹部がいればこうした不様な決着にはならなか
っただろう。
こういうときは「踊る捜査線」の織田祐二の出番だ。